環境省が、東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質の除染に向けた工程表を発表した。福島県内の警戒区域などで条件が整った地域から順次取りかかり、年間被ばく放射線量が50ミリシーベルト以下の地域は2014年3月末までに除染を完了するというものである。
細野豪志環境相は「当初は年度末を目標に策定していた」と言う。先が見通せないまま避難を強いられている住民の不安を和らげるための“前倒し”といえる。その意味で一定の目安を示したことは評価できよう。
だが、工程表には除染による放射線量の具体的な目標値や、住民の帰還時期は入っていない。年50ミリシーベルト超の地域については本格除染のスケジュールすら示さなかった。事態の深刻さをあらためて示したともいえる。
降り積もった放射性物質の主な核種のセシウム137の場合、そのまま放置すれば10分の1に減るまでに約100年かかる、と専門家は指摘する。一日でも早い除染が必要だが、今月1日に放射性物質汚染対処特別措置法が施行されて以降も国の除染は加速せず、除染の効果ははっきりしていない。帰還の実現はまだまだ不透明だ。
作業には多くの問題が待ち受ける。国直轄区域の対象約6万世帯すべてを把握して立ち入り調査などの同意をどう得るかは避けて通れない前提だ。作業量は膨大になろうが、作業員がいったい何千人必要なのかも予測がつかない。放射性物質の仮置き場や中間貯蔵施設の設置、除染後のインフラ整備なども大きなハードルだ。
細野環境相が言う「世界でも例のない試み」である。政府は困難を一つずつ着実に克服し、その経過と成果を地元自治体や住民に丁寧に説明していかなければならない。