「高校卒業以来、典型的な山村集落で野菜専業農家としてやってきました」「生産と販売に創意工夫をすれば面白い仕事」。先日、本紙の読者投稿欄「ちまた」に、こんな文章が掲載された
農業について暗い話題が多い中、思わず引き込まれて読んだ。美作市に住む宇野岱宏さんが記した。間もなく70歳になる。興味をそそられ、電話で話をうかがった
「農業は楽しい」と声が弾む。0・8ヘクタール余りの農地で野菜を中心に作っている。特徴は有機栽培。野菜の甘さが全然違うそうだ。地元と大阪府内の道の駅などで販売している
「宇野農園」のシールを張っているため、常連客が多いという。農業一本で3人の子どもを育て、家も新築した。農産物の輸入自由化が問題視される環太平洋連携協定(TPP)について聞いてみた
「賛否両論あるが、私のことだけを考えると輸入自由化は全く怖くない」と言う。安全と品質にこだわる限り、消費者はこれまで通り買ってくれると力説する。条件が不利な中山間地農業のモデル的存在となり、見学に訪れる若者が増えている
その中で会社を辞めて農業に転職した人もいる。「私の知識や経験を惜しみなく伝え、一人でも多くの若者が農業者になるよう背中を押していきたい」と宇野さん。どんどん押し続けてほしい。