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「30代」のパズル 希望さがして

就職氷河期に社会へ放り出された「30代」の生きづらさをルポ。未来に希望はあるのだろうか。

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【第1部 リセット】独立独歩(11)悠ちゃん
自らを顧みて娘名付け

1歳を迎えた悠ちゃんの誕生日を祝う成瀬夫婦。20年後の日本はどのような時代を迎えているのだろうか
1歳を迎えた悠ちゃんの誕生日を祝う成瀬夫婦。20年後の日本はどのような時代を迎えているのだろうか

 笠岡市高島の成瀬義彦さん(34)宅で昨年11月18日、1歳を迎えた長女・悠(はるか)ちゃんの誕生日会が開かれた。

 <はるかちゃん、おめでとう>。埼玉県に住む成瀬さんの母・富子さん(57)が初孫のために手作りした布製のデコレーションケーキや妻の茜さん(31)がさばいた魚料理でお祝いした。

 「島ののんびりとした環境で伸び伸び育ってほしくて名付けたんです」とまな娘を膝に乗せた成瀬さん。何でもガツガツやってきた自らを顧みて「真逆の人生もいいかなと思って」と話す。

 もうすぐ丸3年を迎える一家の島暮らし。その生活の中心に今、悠ちゃんがいる。地域社会の中に飛び込んでいった成瀬夫婦の、ゆったりとした時間が流れている。

       ○ ○ ○

 当初、夫婦にとって不安だったのは島の“濃密”そうな人間関係だった。それに順応できるのだろうか―と。でも、それは自然に解消できたようだ。

 成瀬さんは消防団や自治会の役員を務めるうちに地元の人たちと仲良くなった。漁船を修理中に親指を切断した時にみんな集まって助けてくれた。「その時、コミュニティーが強いのっていいなと思いましたね」

 茜さんも当初は知らない人から急に話し掛けられて戸惑うことがあったが、今ではその会話が楽しみになっている。「野菜の作り方を教えてくれたり、草むしりを手伝ってくれたり、みんな親切なので感謝してます」

 二人は助け合いが当たり前の暮らしに新鮮な思いがするという。

       ○ ○ ○

 <想像力を働かせて、段取りを考えて、絶対に実行する>

 これが、あえてサラリーマンの道を選ばなかった成瀬さんのポリシーだ。大きくなったら娘にもぜひ伝えたいと思っている。

 「僕たちの世代は親や学校から決まったレールに乗って進めと言われてきたが、そうしたからって幸せになれる保障なんてない。だから、しがみつくのをやめたんです」

 就職氷河期に社会に放り出され、リーマン・ショックの洗礼を受けた成瀬さん。同じ境遇の同世代は、誰もが簡単には“希望”を手に入れられない。どうせ不安定なのなら、レールより、いつ座礁するか知れないが自分の船の方がいい。

 「苦労は多いけど、その方が自由に針路を選べるでしょう。伸び伸びとですよ」

       ◇

 「独立独歩」はおわり。次回から「森の中へ」を掲載します。

(2012年1月17日掲載)

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