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| 山名さん(右手前)の講座修了後、認知症支援運動の象徴・オレンジリングを掲げる人たち。「理解」が地域で支え合う第一歩となる |
第6部 終(つい)のすみかは (7)自分のために
「何ができるか」問い掛け
「和代さん、わしゃ、ご飯食べとらんが」
「お母さん、さっき食べたでしょ」
「食べとりゃせん。わしがはよう死にゃええ思うとんじゃろ」
6月中旬、真庭市下市瀬のコミュニティーハウス。しゅうとめ役の山名光美(てるみ)さん(58)と嫁役の江田君枝さん(62)の軽妙な演技にいきいきサロンの参加者から笑いが起きる。
二人は、厚生労働省が呼びかける運動「認知症サポーター100万人キャラバン」のキャラバン・メイト(講師役)。寸劇や講話で住民に認知症への理解を深めてもらい、患者家族が安心して暮らせる町づくりを進める。
岡山県内のメイト280人中、同市は最も多い80人が登録。通常県が行う養成講座を市独自に開く。立場も愛育、民生委員や医療・介護職、行政マンらさまざま。本年度さらに50人増やす計画だ。
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真庭市は昨年、国のモデル事業指定を受け「認知症地域支援推進会議」を発足。職種や団体の枠を超えた委員が地域ぐるみのケア体制を検討している。
9町村が合併した市域は東西30キロ、南北50キロに及び、県内の自治体で最大。その分、旧町などの地域ごとで、高齢化の程度や介護サービス事業所数、住民の見守りの活発さなど事情は異なる。
「行政のマンパワーが限られる中、どうきめ細かく目を配れるかが課題」と市高齢者支援課。
同会議会長の開業医作本修一さん(61)は、「ご近所」単位から広げる地域組織づくりを模索する。
「それにはメイトのようなキーパーソンが必要」と作本さん。「イベントなどを機に地域の課題を継続的に話し合う場ができるようにしたい」と言う。
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政府の社会保障国民会議は昨年10月、高齢化がピークを迎える2025年の医療・介護費用が現在の41兆円から91兆―94兆円に膨らむ、との試算を公表。消費税や保険料引き上げについても触れた。
財源に限りがある中、今ある“資源”をどう活用していくか。美作大の小坂田稔教授(地域福祉論)はキーワードとして「地域包括ケア」を挙げる。
行政や医療・福祉の専門職に、町内会、民生委員など地域のあらゆる人が連携。見守りやニーズの掘り起こし、時には必要な施策へと反映させる。
「自分たちの問題ととらえ、自ら地域の姿を描く。それには『お互いさま』という意識の共有がまず必要」
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「明日、ひょっとしたら自分が認知症になるかもしれない」。山名さんは寸劇の後、呼びかけた。「だからこそ温かく見守ってほしい。どうぞ『つえ』になってください」
80代の義父母と暮らし、「認知症を知っておこう」とメイトになった。「専門職が多くて場違いかと思ったけど、今は私なりに飲み込んだことを吐き出せばいいんだと思う」
会社勤めの傍ら、1年で20回近い講座を企画。この日も仕事を半日休んで来た。
「講座からもう一歩進んだ活動ができないか、考えてます」と山名さん。例えば、家族が留守中の認知症の人の見守り。介護サービスでは埋めきれない部分を補うものだ。
「明日の自分のために何ができるのか」―。その問い掛けが地域で支え合う新たな力につながると信じている。
シリーズおわり
(2009年6月25日朝刊掲載)
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