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| 家庭的な雰囲気を醸す「岡山デイナーシング看護協会」。医療的ケアを長時間提供し、在宅療養を支える |
第4部 安心のありか (9) 療養通所施設
長時間見守る場不可欠
節くれ立った杉板のフロアに、ゆったりした間隔でベッドが五つ。テーブルにソファ、キッチンもある。
「脚がむくむから、もみましょうね」
岡山県看護協会の療養通所介護施設「岡山デイナーシング看護協会」(岡山市中区竹田)。三月末の昼下がり、杉谷賢(まさる)さん(75)=同市東区城東台西=は横になり、マッサージを受けていた。
杉谷さんは四年前に前立腺がんと診断された。肝臓とリンパ節、骨に転移。長女の伊藤寿明子(すみこ)さん(49)が仕事で不在の昼間、ここに通う。
施設は二階の訪問看護ステーションとの一体運営。医療的ケアの必要性が高い人を対象にした“デイサービス”として、二〇〇七年四月に設置された。十五人の看護師が訪問看護とともにデイにあたっている。
杉谷さんには認知症もある。自ら痛みを訴えない。顔をしかめるなどのわずかなしぐさが「サイン」だ。
「体調の変化を“医療の目”で早く読み取ってほしい」と考えた寿明子さんの希望で、近くのデイサービスとは別に週二回通う。
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「『訪問』サービスだけでは在宅療養を支え切れないと思った」。所長の菅崎仁美さん(46)が開設の理由を振り返る。
協会の訪問看護に携わって約十五年。これまで昼間に家で一人きりになる難病患者や高齢者、末期がんの人らが在宅をあきらめる姿を数多く見てきた。「訪問看護には多くのハードルがある」というのが実感だ。
医療保険が適用されるがんや難病は、診療報酬で実質的な一日の利用制限がある。脳梗塞(こうそく)などは介護保険で、多く使えば使うほど自己負担もかさむ。食事や入浴、体調管理、たんの吸引、胃ろうでの栄養補給といった途切れのない「見守り」を長時間提供する施設が求められていた。
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介護保険に「療養通所介護」が制度化されて三年。しかし、この間の全国の事業所数は六十五。岡山県内で後に続く施設は無い。
ネックになっているのは採算面だ。マンツーマンに近い手厚さのため定員は一日五人(四月から八人)。一方で介護報酬は約一万五千円(六?八時間)と、通常のデイサービスと変わらない。日本訪問看護振興財団(東京)が昨年行った調査で、黒字の施設は全体の二割に満たなかった。
一方で希望者は多い。そのため「岡山デイナーシング看護協会」では利用を一人週三回までに制限。対象も送迎時の体力的負担を考え、車で三十分程度との条件をつけた。
「ニーズに応えきれない」。菅崎さんはもどかしさを抱える。
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「起き上がるのが難しくなっている。施設入所を考えたい」
寿明子さんから父親の状態について相談を受けた三月下旬。菅崎さんらは「痛みがあるのでは」と考えた。
病院の主治医の外来診察は月一回。痛み止めの薬を飲むよう処方してもらうと状態が改善した。いまも在宅生活が続いている。
杉谷さんの妻は昨年二月、がんで亡くなった。病院にかかった時には手遅れで「余命一カ月」。翌日には退院を促された。悩む間もなくホスピスに移り、最期を迎えた。
「父はできるだけ在宅で」。寿明子さんは強く願っている。
(2009年5月9日朝刊掲載)
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