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43回目を迎えた山手小地域ケア会議。高齢者が地域で安心して暮らし続けるためにどうすべきか、意見が飛び交う
第3部 「公」のゆくえ (4) むらが変わる

 住民が動かなければ…

 市から地域包括支援センター所属の保健師、社会福祉士三人と社会福祉協議会の専門員一人。地域からは民生委員、福祉委員、栄養委員ら十三人。三月下旬、総社市山手支所。恒例の会議が始まった。

 「たばこを吸う一人暮らしのお年寄りはどう見守ったらいいでしょうか」

 直前、群馬県の老人施設で入所者十人が死亡する火災が発生。福祉委員の女性が不安げに質問した。

 小地域ケア会議―。「公」と「地域」が協力する高齢者見守りシステムの柱。市全域の二十一地区にあり、山手では二〇〇五年八月から月一回開かれる。

 この日は〇八年度の最終会合。委員長で民生委員の小池祥介さん(71)が「地域包括支援センターの職員数は限られている。これからも私たちで知恵を出し合いましょう」と締めくくった。

              

 見守りシステムの構想は、旧総社市と山手、清音村の合併直前の〇五年三月にまとまった。提唱したのは行政や社協、介護事業所の有志ら約二十人による「総社地域ケアシステム研究会」だ。

 援助を必要とする高齢者の小さな「変化」をいかに早期に発見し、公的福祉や介護保険につなげるか。マンパワーには限りがある。住民自身が身近な支え合いの仕組みを考える小地域ケア会議を中心に、連携していこうと打ち出した。

 人口約四千五百人の山手地区。しかし当初、活動の浸透には時間がかかった。

 「今までは何でも『村』に頼りっぱなし。誰がどう動けばいいのか戸惑った」。小池さんは振り返る。

 運動会や祭りの運営費の補助。地域の清掃活動への日当。どれも長く村が面倒をみてきた。横浜の民間企業で勤めて帰郷した小池さんも最初は驚いたが、大半の住民はそれが当たり前。会議では「見守りは給料もらっとる役所がやればええ」という声さえ出るありさまだった。

              

 後ろ向きだった“空気”を変えたのは、会議での地域包括支援センター職員の一言だ。

 「私たちだけで見守りはできません」

 山手地区担当の本田由美子さん(31)が言い切った。センターは高齢者の総合相談・支援の窓口として〇六年四月に設置。同地区と旧総社市の一部は本田さんら三人がカバーする。財政が厳しい中、住民が動かなければシステムは機能しない、との危機感があった。

 「何でもやってくれる、と思っていた行政側が『できない』と言うんだから、驚きですよ」。一方で、小池さんは住民意識の変化への期待も抱いた。

              

 二年前の秋。ケア会議メンバーは、山手地区で初めて認知症への理解を深めるシンポジウムを開いた。地域を巡ったメンバーが、患者の多さと生活の難しさを痛感し、企画したものだ。

 昨年からは緊急時の支援・見守り台帳づくりに着手。七十五歳以上に親族の連絡先やかかりつけ医など記入してもらった。戸別訪問を通じ、暮らしぶりの把握も進んだ。

 今後の課題はより広範な層の参加。「いずれ私たちも見守ってもらう立場になる。次の世代に一人一人の支援を引き継げる態勢を築かなければ」と小池さんは話す。

(2009年4月15日朝刊掲載)

 


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