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| 万波廉介氏 |
緊急寄稿 病気腎をめぐって 2 泌尿器科医 万波廉介 患者に希望与え得る
学会の病腎移植に対する統一見解が出たが、これに先立ち、私がかかわった岡山、広島の六症例の腎臓摘出がすべて不適切との発表が厚生労働省調査班からあった。
この中で岡山の二件は、大出血の可能性がある危険な腎摘であり、患者に不利益を与え不適切と指摘された。これは右腎摘の場合右腎静脈が短いため〇・五センチほど長くとるよう工夫していることを言っていると思うが、生体腎移植で右腎を使う時には通常施行されており危険な手術ではない。
私は一度も出血したこともなく危険と考えたこともない。患者に説明し腎摘を選択され、腎を移植に使用する承諾を取っており問題はない。腎動脈瘤(りゅう)は二センチ前後あったため、一・五センチ以上あれば泌尿器科医は外科的処置を考慮すると世界の教科書にあり、経過観察すべきとの指摘は問題にならない。
備前市立吉永病院のケースは公文書もあり、この中で私が何ら問題のあることをしてないと述べられているので、これを無視したか見落としたかと思う。患者がショックを受けて入院されたのは私が原因ではなく、最初からの経緯を無視した雑な調査だ。
岡山協立病院のケースは説明書も同意書もあり、本人の希望通り腎摘したのだから問題ない。この患者は他の病院で直腸がんの手術をされ尿管損傷を来したのがもとだから、ご家族の方もすっきりしていないかもしれない。調査委員が病腎移植はダメなのだという先入観を持って調査していけば、いろいろ言われるだろうが、私を攻撃するのは的はずれだ。
すべての腎摘は必要だった。なお人のやった手術を法的根拠もなく検証しているのだから、これを不適切と公表するなんてムチャな話だ。今後の医療活動に寒々としたものを感じるのは私だけだろうか。病腎移植は年間数千の捨てられる腎臓を再利用しようというものであり、誰も傷つけない大変具合のよい方法だ。これを意地悪いしゅうとめが嫁をいびるがごとく重箱の隅をつついて葬り去ろうとしているとしか思えない。
そもそも、この病気腎移植問題では、法律上や手続き上の問題と、医学上の問題が一緒に取り扱われてきたきらいがある。手続き上の問題があったことは学会などの厳しい指摘の通りで、私たちもこの点については深く反省している。
しかし、一度、二度と生体腎移植を繰り返し、数年の後に再び透析に戻った人は大勢いる。このような人と真剣に向き合ってきた医師がおり、私の兄もその一人だった。
先日、広島県医師会というプロ集団が病腎移植を残せと声明を出してくれたことは何とわれわれに勇気を与えてくれたことだろう。私は底辺の透析患者の声が聞きたい。表面化から半年近くもたち、私たちの主張もほぼ分かってもらえていると思う。深刻な臓器不足の中で誰も傷つけたくないと考えた結果だ。表面は笑顔で「私は移植は望みません」と言っている透析患者に、人間的希望を与え得る病腎移植をどう思っているか「闇からの声」が聞きたい。
今後患者や支援してくれる人々と署名活動をする以外、これを残す道はないだろう。
まんなみ・れんすけ 岡山大医学部卒。同大病院、市立宇和島病院、岡山協立病院などを経て2007年2月から名瀬徳洲会病院(鹿児島県)勤務。兄の誠氏や同大OBの医師らと病気腎移植を行った。岡山県吉永町(現備前市)出身。61歳。
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