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2011岡山県内10大ニュース
 東日本大震災で日本列島全体が衝撃と悲しみに包まれた2011年。「絆」を合言葉に岡山からも官民挙げて被災地入りし、復興支援に尽力した。地元経済は林原破綻に揺れた一方、JR倉敷駅北に大型商業施設がオープン。B級ご当地グルメの祭典「B―1グランプリ」では岡山勢が1、2位を独占し、大きな話題になった。師走の全国高校駅伝では倉敷、興譲館が男女そろって準優勝。大きな快挙が県民を勇気づけた。山陽新聞社が選んだ10大ニュースで1年を振り返る。
林原破綻

会社更生法適用を申請し、会見する林原健前社長(左)=2月2日、林原本社
 林原(岡山市北区下石井)が2月2日、会社更生法の適用を東京地裁に申請した。バイオの名門企業として知られていただけでなく、美術館運営などメセナ(社会貢献活動)に積極的だった上、JR岡山駅南に約4万6千平方メートルの広大な土地を持っていたこともあり、各方面に波紋が広がった。

 破綻の引き金は、20年以上続けていた不適切な会計処理の発覚だった。当初は私的整理を目指したが金融機関の調整がつかず、法的整理に移行。林原健前社長ら創業家の経営陣は退任した。

 代わって事業スポンサーに決まったのは、化学品専門商社の長瀬産業(大阪市)。天然糖質・トレハロースなど本業の強みを評価し、700億円の支援を申し出た。同社は岡山に軸足を置いて事業を継続し、林原美術館の運営と恐竜・類人猿研究を当面引き継ぐ方針を示している。

 駅南の土地についても入札の結果、流通大手イオンモール(千葉市)への売却が決定。林原本社は移転し、跡地に高層型商業施設が計画されている。

 11月18日に東京地裁に提出した更生計画案では、債権者に対して92%以上の高い弁済率が示された。負債総額約1400億円と県内では過去最大規模の経営破綻だったが、更生手続きはおおむね順調に進み、地元経済界からは安堵(あんど)の声が上がった。

美作でなでしこフィーバー

大勢のファンでにぎわったなでしこジャパンの五輪予選合宿=8月27日、美作ラグビーサッカー場
 歴史的な快挙に日本中が沸いた。サッカー女子ワールドカップ(W杯)ドイツ大会(6月26日~7月17日)で、日本代表「なでしこジャパン」が強豪国を相次いで破って初優勝。代表メンバーのMF宮間あや、GK福元美穂両選手が所属する岡山湯郷ベルの地元美作市でも“フィーバー”が巻き起こった。

 帰国後、湯郷温泉街で行われた凱旋(がいせん)パレードでは約2千人のファンが祝福。なでしこジャパンは団体では初となる国民栄誉賞を受賞し、宮間、福元の両選手は県民栄誉賞を受けた。

 熱気が冷めやらぬ中、8月22日から6日間、美作ラグビーサッカー場ではロンドン五輪アジア最終予選の直前合宿が開かれた。国民に大きな感動をもたらしたヒロインたちを一目見ようと、県内外から延べ3万2900人が訪れる。合宿の成果もあり、最終予選は4勝1分けの1位で五輪の出場権を獲得。来夏のロンドンで悲願の金メダルを狙う。

チボリ跡地に大型商業施設

チボリ公園跡地にオープンし、大勢の買い物客でにぎわう三井アウトレットパーク倉敷
 倉敷チボリ公園跡地(倉敷市寿町)に12月1日、県内初の本格的アウトレットモールとなる三井不動産(東京)の「三井アウトレットパーク倉敷」が開業した。隣にはイトーヨーカ堂(同)のショッピングセンター「アリオ倉敷」も11月下旬オープン。JR倉敷駅北口は大勢の買い物客でにぎわう一大商業エリアに生まれ変わった。

 アウトレット施設は中国地方最大級で、有名ブランドのカジュアル衣料やスポーツ用品などを扱う120店が出店。両施設で年間800万人の来店、同300億~350億円の売り上げを見込む。

 倉敷市内では、イオンモール倉敷(同市水江)も1999年の開業以来初の大規模増床を終え、中四国最大規模の商業施設として10月末にリニューアルオープン。わずか約1・5キロの距離で、巨艦施設が激しい集客合戦を繰り広げる構図が生まれた。

 4.台風12号13年ぶり直撃


土砂が流入し、教室の1階部分が半分ほどの高さまで埋まった郷内小校舎=9月4日、倉敷市林
 9月3日未明から4日にかけ、台風12号が県内を暴風域に巻き込みながらゆっくりと北上した。13年ぶりの直撃。各地で大雨による水害や土砂災害が相次いだ。

 降水量は県内の25観測地点中17地点で200ミリを超えた。家屋の浸水被害は床上・床下合わせて9392棟と、平成以降では2004年の台風16号に次ぐ規模だった。けが人は重傷1人、軽傷4人。

 岡山市の河川では堤防決壊の危機に直面した。南区山田では足守川の水が堤防を越えて住宅街に流入。旭川も水位が上昇し、市は中区東中島町と西中島町の全199世帯に避難指示。県内全域では7市で計11万9千世帯28万9千人に避難指示・勧告が出された。

 倉敷市林では郷内小の裏山数カ所が崩れ、大量の土砂が校舎1階などに流れ込んだ。このため教室が使えなくなり、児童の一部はいまだにプレハブでの授業を余儀なくされている。

 5.B級グルメブーム


多くの人々でにぎわった「おかやまB級ご当地グルメフェスタin真庭」=10月1日
 11月12、13日、兵庫県姫路市であったB級ご当地グルメの祭典「第6回B―1グランプリ」で、ひるぜん焼そば好(す)いとん会(真庭市)がグランプリ、津山ホルモンうどん研究会(津山市)が2位、初出場の日生カキオコまちづくりの会(備前市)が9位と大活躍。各地でイベントが相次ぐなど“一大ブーム”を巻き起こした。

 過去の「B―1」では、津山ホルモンうどんが2009年3位、10年は4位、ひるぜん焼そばは10年に初参加で2位。広まりつつあった「ご当地グルメ王国・岡山」の評価は第6回の快挙ですっかり定着した。

 10月に真庭市であった「ご当地グルメフェスタ」には約7万3千人、B―1直後に津山市で開かれたフェスティバルには約1万人が来場した。

 例年なら冬場は観光客が落ち込むが、真庭市蒜山地域には焼そばを求める観光客が途絶えず、ホルモンうどんなどの提供店にも熱々の味を求めて県内や京阪神などからも多くの人々が来店している。

 6.大震災支援


被災地でがれき撤去のボランティアに励む県内の大学生=8月26日、岩手県大槌町
 東北地方を中心に2万人近い死者・行方不明者を出した3月11日の東日本大震災。福島第1原発事故が被害を増幅させた。

 岡山からも県警や消防援助隊、陸上自衛隊、自治体職員、市民ボランティアら延べ4千人以上が現地入り。津波が襲った沿岸部での不明者捜索や避難者ケア、家屋のがれき撤去などに力を合わせた。

 支援の輪は県内にも広がった。毛布などの救援物資は大型トラック44台分を超え、義援金は阪神大震災を大幅に上回る33億円が集まった。県と市町村が受け入れた避難者は53世帯167人に上った。

 県は国の指針を待たずに地域防災計画の本年度内の見直しに着手。東海・東南海・南海の3地震連動発生による津波被害の独自予測を8月に公表するなど対応に追われた。

 ただ、被災地では医師不足などの問題を抱え、今も活動を続ける県内ボランティアもいる。放射性物質への不安は大きく、“復興”への道のりは遠いままだ。

 7.高校駅伝で県勢アベック準優勝


2位でゴールする興譲館のアンカー岡未友紀(写真左)、過去最高の2位でフィニッシュする倉敷のアンカー日下粛基=京都市西京極陸上競技場
 師走の都大路で岡山勢が躍動した。25日に行われた全国高校駅伝(京都市)で男子の倉敷と女子の興譲館が準優勝。県勢が初めて男女そろって表彰台(3位以内)に立つ快挙を演じた。

 全国最多の34年連続出場の倉敷は最長1区の徳永照選手が3位と絶好のスタート。これで波に乗ったチームは4区の藤井孝之選手が2位に浮上すると、その後も堅実な走りで順位を守り抜いた。真骨頂の全員駅伝で県勢最高成績(4位)も更新。8年ぶり9度目の入賞を悲願のメダル獲得で飾った。

 史上4校目の連覇を狙った興譲館は1区6位から巻き返し、大会史上初となる8年連続の表彰台を達成した。2区で区間2位の矢本桜子選手ら1年生3人が好走し、アンカー岡未友紀選手も首位の豊川(愛知)を懸命に追う。3度目の日本一には24秒及ばなかったが、前回女王の意地と底力は示した。

 8.千足古墳の装飾取り出し


専用容器に収めた石障を特設やぐらを使って運び出す作業員ら=12月11日
 県内唯一の装飾古墳、国史跡・千足(せんぞく)古墳(岡山市北区新庄下、5世紀前半)の古代文様・直弧文(ちょっこもん)が劣化剥落した問題で、12月10、11の両日、保存措置のために装飾石材(石障)を石室から取り出す作業が行われ、無事搬出に成功した。

 放置すれば貴重な装飾が完全に失われる可能性が高く、現状保存を断念。奈良県の高松塚古墳、キトラ古墳(ともに国特別史跡)に続く国内3例目の装飾取り出しとなった。搬出には成功したが、作業のために古墳の一部を壊すという重大な犠牲も強いられた。

 千足古墳を管理する岡山市教委は、石障を同市埋蔵文化財センター(同市中区網浜)で保管。技術的なめどが立っていない保存処置法の検討を続ける。今後は、同古墳を含む古代吉備のシンボル・造山(つくりやま)古墳群(計7基、全て国史跡)全体の保存管理にどう取り組むかも問われることになる。

 9.派遣社員女性殺人事件


IT関連会社の敷地を調べる捜査員=10月9日、岡山市北区
 9月30日夕、岡山市北区のIT関連会社に勤めていた同市東区瀬戸町瀬戸、派遣社員加藤みささん=当時(27)=は退社直後、同社玄関脇の倉庫に連れ込まれ、ナイフで刺殺された。

 逮捕されたのは、犯行の10日前に同社を退職していた大阪市住吉区沢之町、無職住田紘一被告(29)=殺人、死体遺棄・損壊罪などで起訴。加藤さんの遺体を実家のある大阪市まで運び、ガレージで切断した後、川などに遺棄して事件の隠蔽(いんぺい)を図ったとされる。

 その動機について、住田被告は弁護士にこう語っている。「元の交際相手と同僚が結婚すると聞き、2人の関係を破綻させるため、同僚と面識のある女性を連れ去って、同僚の仕業に見せかけようと思った」「手錠を掛けたら抵抗されたため刺した」

 残虐な犯行と理解しがたい自分勝手な動機が関係者に与えた衝撃は大きい。何の落ち度もない若い女性の命がなぜ奪われなければならなかったのか。1月16日には公判前整理手続きが行われ、裁判員裁判の審理が始まる。

 10.統一地方選 岡山市は初の“ダブル選”


出陣式で気勢を上げる県議選の候補者陣営=4月1日、岡山市
 政権交代後初の統一地方選は、国政与野党の地方議会での消長が焦点になった。前半戦の県議選と岡山市議選は4月10日、後半戦の津山、玉野市など5市町村議選は同24日に投開票。東日本大震災で自粛ムードが支配し、運動を抑制する陣営も相次いだ。

 県議選(定数56)で国政与党の民主は11人を擁立し、4議席から大幅増を狙ったものの5議席にとどまった。自民は公認34人に無所属4人を加えて絶対安定多数を維持。公明、共産を含め勢力の変動はわずかだったとはいえ、民主は地方での基盤の弱さを露呈した。

 政令指定都市になった岡山市議選(同52)は今回から前半戦に移り、県議と初の“ダブル選”に。選挙区も四つの区ごとに分かれ、様相が一変した。ベテランら現職5人が議席を失った一方、新人は15人が当選。民主はここでも8人を公認しながら改選前と同じ4議席にとどまった。


(2011年12月29日付朝刊掲載)

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